NIPT(新型出生前診断)施設の選び方と重要チェックポイント

妊娠した女性が自分の胎児に異常があるかどうか不安に思うのは当然のことだと思います。このような不安に応えるのが出生前検査です。出生前検査には様々な種類があり、どのように病院を選べば良いのか迷ってしまうものだと思います。出生前検査の基本と、NIPTに関する情報を詳しく皆さんにご紹介します。

1.出生前検査の種類

出生前検査というと皆さんはどのような検査をご存知でしょうか。羊水検査やNIPTなど、様々な出生前検査があり、患者さんにとって選ぶのが非常に大変なものだと思います。正しい知識を身につけると、正しい選択ができるようになります。出生前検査についてまずは知識をつけておきましょう。

非確定検査と確定検査?

検査には様々な種類があり、実は診断に使える確定検査と、診断前のスクリーニング検査(リスクの高い人を見つける検査)という2種類を理解する必要があります。

診断に使える検査を受けると確実に病気があると診断することができ、そのまま様々な治療につなげることができるのですが、非確定検査で病気があると診断を受けたとしても実はすぐに病気だと決めつけて診断をすることができません。時間的な余裕がある場合には検査基準としてより信頼性の高い確定検査を受け、より診断的価値の高い検査を利用することになります。

感度と特異度、陽性・偽陽性って何?

検査を受ける前にまず注目しておきたいのが、感度と特異度という考え方です。最近話題のコロナウイルスのP C R検査でも話題になり、皆さんの中にも陽性・偽陽性という言葉と合わせて耳にした方が多いかもしれません。

検査の感度というのは陽性とでた患者さんの中に、どれだけ本当に病気の人が含まれているのかを表す指標で、この数値が高ければ高いほど、陽性の患者さんの中に病気の人が含まれる可能性が高くなります。

それでは感度が高い検査を利用したら良いのではないかという意見も挙がるかもしれませんが、実はこれだけではありません。感度と合わせて特異度にも目を向ける必要があるのです。

特異度というのは陰性と出た人の中にどれだけ本当に病気がない人が含まれているのかを表す指標で、陰性と出た場合の信頼度を表すことができます。感度が高いだけでは実は多くの本当に病気になっている患者さんを陰性判定してしまうことがあり(陽性の判断が厳しすぎる)陰性の信頼度も合わせて考えるとより陽性の判定、陰性の判定の信頼性が高くなります。

このため、感度と合わせて特異度を分析することで本当に自分にあった検査を選ぶことができます。気になる場合には医師にこの検査の感度と特異度を合わせて考えるように心がけておきましょう。

出生前診断の種類は?

出生前検査にはいくつか種類がありますが、まずは非確定検査と確定検査の別にご紹介いたします。

非確定検査の種類

超音波検査

超音波検査はお腹の中の胎児を、超音波を使って調べる検査です。超音波を使って調べる場合にはC Tやレントゲン写真の撮影と違って放射線被曝の心配もする必要がなく、安心して利用することができます。一般的に妊婦さんの検診で必ず利用するものなので、誰でも妊娠した女性であれば経験があるものではないでしょうか。

手軽に検査できますし、赤ちゃんの状態をすぐにその場で見ることができるので、赤ちゃんの異常を早期発見する上で欠かせない検査です。流産の心配はありませんが、ある程度胎児が育った段階でなければ異常を発見することができないことがあるので、この検査はあくまでも簡易的な検査と捉えると良いでしょう。

母体血清マーカー検査

母体血清マーカー検査はいわゆるクアトロテストと呼ばれるもので、母体の年齢から求められるそれぞれの病気の確率に、胎児が対象疾患であった場合の母体血清中の4つのマーカーの増減を反映したLikelihood Ratioと呼ばれる指標を掛け合わせることで出てきます。

このため、クアトロテストを受けると妊婦さん一人ひとりの体に合わせた病気の確率を出すことができます。この確率と病気の基準となる確率(カットオフ値)を比較して、カットオフ値より高い場合は陽性、低い場合は陰性と判断されます。しかし、この値はあくまでもスクリーニング検査として出てくる数値なので、この結果が必ずしも病気という判断につながるものではありません。

NIPT

NIPTは母体の血液の中の胎児の成分を検出することで胎児の病気を調べる方法です。この検査では胎児の染色体の異常を調べることができ、トリソミーや染色体の欠失など、染色体異常を調べることができる反面、胎児固有の遺伝子の異常を調べることはできません。

胎児の遺伝子の異常は母親、父親両方の遺伝子を調べ、病気を保有する確率を出すことはできますが、胎児の遺伝子まで調べたい場合には他の方法を使って遺伝子異常を調べなければいけません。

しかし、NIPTでは血液検査だけで検査結果を知ることができ、しかも感度が非常に高いという特徴があります。陽性と出た場合には病気や異常を保有している可能性が高いので、異常を発見する上で非常に役立ちます。

確定検査の種類

確定検査はこの検査の結果だけでほぼ確実に病気があると判断することができる検査で、どちらも母体に負担をかけ、場合によっては流産の危険を伴います。

羊水検査

羊水検査は子宮内の羊水を直接採取して調べる検査です。胎児は羊水に包まれて発育するので、羊水の内部には胎児の細胞が含まれていて、この細胞を調べることで胎児の染色体だけでなく遺伝子の異常まで調べることができます。妊娠週数がある程度経過し、胎児が適当な大きさまで発育した後で初めて受けることができます。

最近では日帰りで検査を受けることができる医療機関が増えてきていますが、中には1泊程度の入院を求められる場合もあります。流産のリスクがある検査ですが、近年技術が徐々に改善されているので、こちらの検査も安心して受けて良いでしょう。

絨毛検査

絨毛検査は妊娠早期の胎盤の一部を採取する検査で、遺伝子疾患だけでなく染色体異常まで調べることができます。大体妊娠10~13週頃に検査を受けることができ、検査自体は実は羊水検査よりも早期に受けることができます。

この検査ではお母さんの中から子宮に向けて注射針を刺し、絨毛という胎盤の一部を採取してきます。お腹から直接絨毛を採取することができない場合には内診をするときと同じように膣を経由して採取することもあります。この検査では羊水検査と同じように胎児の状態を判定できると思われがちですが、実は胎盤の一部の細胞を取ってきているだけなので、胎盤にだけ起こった染色体の異常のみを拾い上げて、胎児の染色体の異常や遺伝子の異常を正確に調べているわけではありません。この検査に合わせて後日羊水検査を受ける必要が出てくることもあるので、注意しておきましょう。

絨毛検査は羊水検査と同じように流産のリスクを伴い、確率は若干羊水検査よりも高くなります。

2.NIPT(新型出生前診断)の認定と無認可の違い

NIPTを受けるときに耳にするのが認定・無認可という言葉です。NIPTを受けるにあたりこの二つの施設の違いを説明しておきたいと思います。

日本には日本医学会という学会と日本産科婦人科学会という二つの学会があり、この学会が認定を行っている施設とそうした認定のない施設違いが認定と無認可の違いなのですが、この検査の差はある程度知っておくと検査選びに役立ちます。

認定施設の特徴

認定施設は日本医学会 日本産科婦人科学会の認定を受けているので、日本の医療水準のお墨付きがあり、そういう点では安心ができます。かかる費用は無認可のNIPTを実施している施設よりも高額になることがあります。

遺伝カウンセリングを受けることができるという点では認可施設の方にメリットがありますが、羊水検査を無料で受けることができるという点ではあまり無認可施設と代わり映えしません。検査の実施は日本国内の企業で検査を行うか、一部アメリカの企業に検査依頼をすることもあります。

年齢制限については認定施設の方がハードルが高く、一般的には35歳で出産を迎える方をターゲットに検査を行なっています。検査の申し込み自体も医師からの紹介状が必要なことが多いので、検査までのハードルが非常に高いと言えるでしょう。

検査の精度ですが感度99% 特異度99%と非常に検査の精度は高いのですが、これは無認可施設と代わり映えしません。

無認可施設の特徴

無認可施設の特徴はなんといっても検査を受けるまでのハードルの低さにあります。年齢制限を設けていない施設もありますし、費用は認定施設とあまり変わらないか、若干安くなる程度で検査を受けることができます。

最近では検査で陽性の判定が出たのちに追加で羊水検査を受けることができます。羊水検査の追加費用がかかる施設もありますが、最近では羊水検査も無料で利用できる施設もあるので、患者さんの負担は非常に軽いものです。

検査の項目は認定施設よりも無認可の施設の方が幅広い検査を行なっている事が多くなり、今現在では無認可の施設の方が多様な検査を行なっています。感度・特異度も無認可の施設と認定施設との間で差が無いので、この点については特に問題無いでしょう。

3.NIPT(新型出生前診断)を受ける病院の選び方と重要チェックポイント

それでは、実際にNIPTを利用するにあたり知っておきたいポイントを皆さんにご紹介します。

費用

まず、一番初めに注目したいのが検査の費用です。検査の費用は重要なポイントで、大体平均的に19万円程度の費用がかかるのが相場です。これよりも極端に費用が安い場合にはなんらかのサポートが得られなかったり、検査企業に問題がある場合もあるので注意が必要です。

費用を見るときには支払い方法まで注目する必要があります。カード決済が可能なのかどうか、支払いのタイミングはいつなのか、キャンセル対応はどのようになっているのかといったポイントを抑えておくと検査を安心して受けることができます。

一般的にNIPTはある程度まとまった費用がかかることが見込まれる検査なので、検査を受ける前にその内容に納得がいかなければ不満を溜めてしまう原因になります。妊娠中は働くことも難しく、出産・育児の費用を考えるとある程度の出費は抑えたいものだと思います。

検査に必要な費用の内訳までしっかりと納得できる病院を選ぶように心がけておきましょう。

検査の条件

検査の条件も非常に重要なポイントです。検査の条件はクリニックによって大きく異なっていて、年齢制限の有無や妊娠週数の制限に注意が必要です。

もともとNIPTは妊娠10週以降でなければある程度質の良い結果が出ないことが知られている検査なので、どうしてもどのクリニックでも妊娠10数以上は最低でも経過している必要があるのですが、クリニックによってはこれ以上妊娠週数を経過して初めてNIPTを利用できるクリニックも散見されます。

また、認定施設などでは一般的に医師の紹介状が必要になることが多く、これはもともと認定施設の条件が厳しいため、大きな病院しか認定を受けることができないことが一因となっています。

それだけ厳しい基準なので、検査を行う病院には遺伝子カウンセリングのスタッフが勤務していたり、産婦人科の医師が勤務していることもあるのですが、どうしても検査を受けるまでのハードルが高くなりがちです。

このため、手軽に検査を受けることができるのかどうかをよく考え、本当に認定施設を利用する必要があるのか、それとも無認可の施設でも問題が無いのかどうかを慎重に検討する必要があるのです。

検査を行う企業

検査を行う企業にもよく注目しなければいけません。検査を行う企業によって検査の精度が異なる場合があり検査の内容や検査の感度が全く異なる場合があります。

インターネットのホームページを確認すると検査企業の情報を得ることができます。検査の感度や特異度に注目して、信頼できる企業なのかどうかをよく見極めながら選びとるようにしましょう。

ドクターの経験・経歴

医師の経歴もよく注目したいポイントです。NIPTを行なっているクリニックの中には、女性医療の専門的な知識を持つことなく単に採血のみを行うクリニックとして営業している例もあり、遺伝子医療の専門的な知識や産婦人科医療の知識をあまり持ち合わせていない医師がいるのも事実です。

NIPTの検査は確かに採血だけでできる検査なので、医師と看護師がいれば検査を受けることはできますが、その後の対応には必ず遺伝子の専門的な知識を持った医療関係者と産婦人科の医師の対応が必要になる場合があります。特に検査の結果でなんらかの異常が発見された場合には間違いなく産婦人科を受診することになるので、このような女性に対する医療の専門性を持ち合わせた医師が在籍しているのかどうかをよく見極めて病院選びをする必要があります。

医師の経歴はインターネットのホームページから確認することができるので、どの診療科の専門性を持った医師なのかを十分に確認してから利用を検討するように心がけてみましょう。

検査項目

検査の項目もよく確認しなければいけません。検査の項目と言うのは非常に難しいものだと思いますが、簡単に言うと検査は染色体の数の異常と染色体の一部の異常を発見する検査を行います。

染色体というのは体を構成する細胞の中にある核という部分にあり、遺伝子が入っている乗り物のようなものです。1番から22番までの常染色体という染色体が2本ずつ、性別を決定する性染色体という染色体が2本の合計46本あり、この染色体の中にはそれぞれ複数の遺伝子が入っています。

染色体の数の異常というのはこの合計46本の染色体のいずれかの数が多すぎたり、少なすぎたりする異常で、ダウン症候群や18トリソミー、ターナー症候群、クラインフェルターン症候群などの異常を発見することができます。

染色体の一部の異常というのは、染色体の一部が千切れてしまったり、どこか他の染色体と一部が交換されてしまっている異常を発見する検査で、このような検査を微小欠損検査と言います。

微小欠損検査で全ての染色体を網羅的に調べるのはあまり行われておらず、実際には代表的な欠損のみを検査するのが一般的です。検査を受ける時にはどのような検査が必要になるかわからないものかもしれませんが、一度医師に相談して決めてみると良いかもしれません。

検査の流れ

検査の流れを知るのも大切な注目点です。妊娠した体に負担をかけながら病院に出向くのは大変なものだと思います。特につわりがひどい時期では病院に出向いて採血を受けるだけでも一苦労です。検査を受ける時にはどのように予約を取るのか、どのように採血の予約を取るのかといった検査の基本的なポイントをよく調べるようにしましょう。

検査の流れの中でもう一つ注目したいのが、検査結果の受け取り方です。郵送やメールで検査結果を受け取ることができる医療施設の場合には検査結果を受け取るのも負担なく利用できます。

コロナウイルスやインフルエンザウイルスなど、1年を通じて様々な感染症にかかる可能性がある中、妊婦さんが出歩く機会を減らせればそれだけでより安全に過ごすことができます。検査結果の受け取りまで含めて、安心して検査に望めるように下調べをしておきましょう。

アフターケア

NIPTのアフターケアも非常に重要なポイントです。万が一検査の結果で異常が出てきた場合には、羊水検査などの追加検査を受けたり、遺伝子カウンセリングが必要になる場合があります。このようなアフターケアが充実しているのかどうかをしっかりと確認しておけば、万が一のトラブルが出てきた時にも安心して次の対処に移ることができます。

アフターケアについて必要なのは、カウンセリング・羊水検査の2点です。この2点についてしっかりと確認しておけばNIPTも安心して利用ができるので、ホームページで事前に確認を取るようにしましょう。

NIPTの情報の集め方

NIPTの情報を集める時にはまず、自分が居住している地域だけでなく、それ以外の地域の病院まで情報を集めることが重要です。中には提携しているクリニックを通じて関西にいながら関東の病院を経由して検査を受けることができたり、その逆のような体制を整えているクリニックもあります。

病院によってNIPTの取り扱いや、患者さんを受け入れる体制が全く異なるので、まずは病院ごとの対応をしっかりと見極めるためにも幅広く病院を比較する必要があります。先に挙げたチェックポイントの中から自分が気になる項目をいくつかピックアップし、病院比較を徹底的に行なってからNIPTを利用するように心がけておきましょう。