NIPTを受けようと考えている人の中には、クリニック選びで迷う方も少なくありません。近年、NIPTを実施しているクリニックが増えていますが、費用やフォロー体制はそれぞれ異なります。
この記事では、NIPTで人気の医療機関であるヒロクリニックと八重洲セムクリニックの比較について解説しています。
ヒロクリニックと八重洲セムクリニックの比較
NIPTは妊娠初期の段階で胎児の染色体数の異常の可能性を調べる検査です。検査は採血のみで完了するため、NIPTを導入する医療機関が増えています。
その一方で、NIPTは遺伝子検査でもあるため、検査前後の十分なフォローが重要です。以降では、さまざまな視点からヒロクリニックと八重洲セムクリニックの比較をしていきます。NIPT検査を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
1.医療機関の実績
NIPTを受ける上で、重視したいのが医療機関に実績があるかどうか。日本では2013年にNIPTが開始しましたが、実績のあるクリニックならスムーズに検査を受けられるでしょう。
ヒロクリニック(☆☆)
ヒロクリニックのNIPT実績数は、公式サイトから確認できませんでした。もともとヒロクリニックは、内科・皮膚科・美容外科・形成外科・心療内科を掲げる総合医療クリニックですが、産婦人領域は専門ではありません。
NIPTは採血だけで完了しますが、確定診断のための羊水検査は受けられない等のデメリットがあります。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆☆)
日本のNIPTにおけるパイオニア的存在であるのが、八重洲セムクリニックです。外科、内科、産婦人科を掲げる大阪の奥野病院が元で、2017年に都内に開院しています。
八重洲セムクリニックは、2016年に国内初である年齢制限のないNIPTを開始し、2017年に国内初の全染色体検査を開始しました。トータルで1万件以上の検査を行っており、産婦人科医領域でも実績の豊富な医療機関なので、安心して検査を受けられるでしょう。
2.陽性になった場合のアフターケア
採血のみで手軽に受けられるNIPTですが、検査結果によっては重大な決断が迫られることも。検査結果が陽性になったとき、クリニックでアフターフォローを受けられると心強いでしょう。ここでは2つのクリニックの検査後の対応についてみていきます。
ヒロクリニック(☆☆☆)
検査結果で陽性が出た場合、希望があれば遺伝カウンセリングを受けることが可能です(30分5000円)。また、検査前に提携検査機関の互助会費(3000円)を支払うと、羊水検査の補助金(最大20万円)を受けられます。羊水検査は、他の医療機関での実施となるので注意しましょう。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆☆)
検査結果で陽性で出た場合、遺伝カウンセリングと再診察を無料で受けることができます。八重洲セムクリニックでNIPTを受けた妊婦さんは、クリニック負担で羊水検査による確定診断も受けられます。
3.NIPT(新型出生前診断)の検査精度
検査の精度は「陽性判定のときに本当に陽性である確率」のことです。NIPTで陽性が出た場合、確定診断を得るには羊水検査などを行う必要があります。
どの検査にもいえることですが、「検査結果の陽性後、精密検査で陰性だった」というケースがあります。2つのクリニックが掲げているNIPTの検査精度についてみていきましょう。
ヒロクリニック(☆☆☆☆)
ヒロクリニックについては、検査の精度に関するデータはありません。検査の感度(陽性を正しく陽性と判定する確率)は、96.5%、検査の特異度(陰性を正しく陰性と判定する確率)は、99.9%です。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆)
ダウン症(21トリソミー)の検査の精度は、25歳の妊婦さんで90%、35歳の妊婦さんで97.6%です。年齢によって差があるのは、妊娠年齢が若い方がダウン症のリスクが低くなるためです。
4.検査結果の通知方法と期間
NIPTを受けた後に、なるべく早く結果を知りたい人も多いはず。一般に、検査会社から医療機関への検査結果の通知は2~3週間かかるといわれてます。ここでは、2つのクリニックの検査結果の通知方法と通知までの期間についてみていきます。
ヒロクリニック(☆☆☆☆☆)
NIPTの検査結果の通知は来院だけでなく、メールでも受けられます。公式サイトを見ると、通知までの期間は「最短2日、最長6日」とありますが、多くの方は6日後に結果を受け取っているようです。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆)
NIPTの検査結果の通知は、来院だけでなく、郵送も受け付けています。公式サイトを見ると、通知までの期間は「約10~12日」とありますが、9日で受け取っている人も。
5.検体の輸送体制
NIPTは医療機関で採血をして、検体を検査機関に送るのが一般的です。基本的に、医療機関で検体の取り扱いは厳重に行われています。ここでは2つのクリニックの検体の輸送体制についてみていきます。
ヒロクリニック(☆☆☆☆)
検査機関が海外から国内に変更されたことにより、より迅速な輸送が可能になっています。ヒロクリニックは全国各地に分院があるため、バイク便だけでなく航空便も利用しています。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆☆)
採血は1名ずつ行い、1つの検体に1つの専用ボックスを使っています。検査機関は海外で、医療専門の航空便を使用しています。輸送距離が長いことが懸念されます。
一方、検査機関側でも手順ごとにダブルチェックが行われるので、取り違えのリスクは低いといえるでしょう。
6.NIPT(新型出生前診断)に関わる医師
NIPTを受けるなら、専門医による検査を受けたい人もいるでしょう。NIPTは医師が説明した後、看護師が採血をすることがほとんどです。そのため、実際に医師と関わるのは、検査の説明時になります。ここでは2つのクリニックの院長や医師の経歴についてみていきます。
ヒロクリニック(☆☆☆)
院長はもともと皮膚科と形成外科の専門医ですが、国際出生前診断協会の会員資格も取得されています。産婦人科領域は専門外であるものの、NIPTに関する知識は豊富といえるでしょう。
なお、分院の名古屋駅前院は、日本産婦人科の専門医が常勤しています。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆☆)
院長は、産婦人科の専門医として、妊娠から出産まで数千もの妊婦さんの診療に携わってきた経験があります。2016年には国際出生前診断学会の会員資格も取得しており、NIPTに関する知識も豊富であることが伺えます。
7.NIPT(新型出生前診断)の検査項目
認可施設のNIPTでは、倫理的な観点からNIPTで分かる染色体数の異常は、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3つのみに限定されています。認可施設のNIPTで分かる3つの病気の可能性は、染色体異常のうち7割を占めます。
NIPTの認定外施設なら、上記3つ以外の染色体についても調べることも可能です。ここでは2つのクリニックのNIPTの検査項目についてみていきます。
ヒロクリニック(☆☆☆☆☆)
通常のNIPTと同じ、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーと性別判定の基本検査プランはじめ、全染色体検査プランに全微小欠失検査や微小重複検査を追加した世界初の検査プランがあります。
微小欠失検査や微小重複検査では、通常のトリソミーを調べる検査では分からない、染色体の長さの異常について調べることも可能です。
また、ダウン症(21トリソミー)のみを調べる検査プランもあり、希望に応じて検査項目を柔軟に選べるのが特徴です。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆)
通常のNIPTの検査項目である、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーと性別判定の基本検査プランはじめ、全染色体検査プラン、全染色体に微小欠失検査追加したプランがあります。
8.NIPT(新型出生前診断)検査の費用
NIPTをはじめとする出生前診断は、健康保険が適用されない自由診療です。医療機関によって異なりますが、かかる費用はおよそ8~20万円。ここでは、2つのクリニックのNIPTにかかる費用についてみていきます。
ヒロクリニック(☆☆☆☆☆)
ヒロクリニックは検査プランがいくつかに分かれており、希望に応じてすべての染色体の検査することも可能です。
認可施設のNIPTに相当する「ミニマム」プランなら、9,0000円(双子は11,5000円)と良心的な料金設定なのが特徴です。全染色体を調べる「フルセット」プランは、240,000円(双子は265,000円)になります。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆)
認可施設でも行われているNIPTの他に、全染色体の検査も行っています。認可施設のNIPTに相当する検査は196,000円です。
全染色体の検査は220,000円(微小欠失もプラスすると230,000円)と、基本検査の料金と大きな差がなくお得です。
9.NIPT(新型出生前診断)の検査対象者の条件
日本では倫理的な観点から、認定施設におけるNIPTの対象者が制限されています(35歳以上の高齢出産予定の人、他野検査で染色体数異常の可能性を指摘されている人、先天異常児の出産経験がある人など)。
さまざまな議論があるものの、上記の条件以外の妊婦さんの中には、NIPT検査を必要としている人が多くいます。認定外施設のNIPTなら条件に該当しなくても、検査を受けることが可能です。
ヒロクリニック(☆☆☆☆☆)
認定外施設であるため、年齢制限は特に設けられていません。妊娠10週目以降の妊婦さんなら誰でも検査を受けることが可能です。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆☆)
認定外施設であるため、年齢制限は特に設けていません。妊娠10週目以降の妊婦さんなら誰でも検査を受けることが可能です。
10.クリニック独自の条件
NIPTを行っているクリニックの中には、独自の条件を設けているところもあります。ここでは、2つのクリニックの条件についてみていきます。
ヒロクリニック(☆☆☆)
NIPT検査は妊婦さんを対象にしている検査です。検査当日は妊娠確認のために、エコ―写真と母子手帳の持参が必要です。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆☆)
クリニック独自の条件は特に設けていません。
11.NIPT(新型出生前診断)の検査予約
NIPTは妊娠中に受ける検査なので、手軽に予約を受けたいという人もいるでしょう。ここでは2つのクリニックのNIPTの検査予約方法についてみていきます。
ヒロクリニック(☆☆☆☆)
ネット予約で検査予約を完了することができます。具体的には、ヒロクリニックの予約専用のページで、希望の来院日時等のデータを記入し、仮予約完了をし、メール通知後に本予約を行います。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆☆)
インターネットで完結するweb予約だけでなく、電話予約にも対応しています。電話番号はフリーダイヤルとなっており、インターネットが苦手な人でも気軽に予約ができるでしょう。
12.検査前の遺伝カウンセリング
NIPTの検査結果によっては、胎児の先天異常の可能性が判明するため、重大な決断を迫られることもあります。そのため、認定施設のNIPTは、専門家による事前カウンセリングが欠かせません。
遺伝カウンセリングでは、検査説明の他にも、今後の方向性について意思決定のためのサポートが受けられます。ただし、多くの認定外施設では、遺伝カウンセリングを行っていないところがほとんどです。
ヒロクリニック(☆☆)
検査前に専門家による遺伝カウンセリングは行われていません。検査前にNIPTに関するていねいな説明があります。NIPTについて十分理解したうえで、検査に臨めるでしょう。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆)
検査前に専門家による遺伝カウンセリングを行っています。ただし、採血当日に行われるため、カウンセリング後に考える時間が少ない可能性があります。
13.クリニックまでのアクセス
妊娠初期に受けられるNIPTですが、実際に行えるのは妊娠10週以降です。妊娠期間中は体に大きな変化が起こるので、体調をくずしてしまうことも。交通アクセスのよいクリニックなら、体への負担が小さくなります。
ここでは2つのクリニックへのアクセスをみていきましょう。
ヒロクリニック(☆☆☆☆☆)
全国各地に分院があるヒロクリニックは、どの分院も駅から徒歩5分以内の場所に位置しており、妊婦さんにも通いやすいアクセスです。
東京、埼玉(大宮・川口)、神奈川、名古屋、大阪、福岡と主要都市を中心に分院があるので、地方在住の人も検査を受けやすいでしょう。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆)
東京のほかに大阪に分院があり、いずれのクリニックも徒歩10分以内のまずまずの場所に位置しています。全国で2か所しかないため、全国から通院するのは難しいでしょう。
14.ユーザーレビュー
実際にNIPTを受けるうえで、参考にしたいのが口コミです。ここでは、2つのクリニックの口コミを評価します。
ヒロクリニック(☆☆☆)
口コミでは、手軽にできるネット予約や、医師によるていねいな説明が高い評価を得ています。一方で、受付スタッフの対応が少し遅い、採血が痛かったなどの声も。
八重洲セムクリニック(☆☆☆☆)
口コミでは、分かりやすい検査説明とスムーズな検査結果の発送が高い評価を得ています。都内でNIPTを受けるのに、ヒロクリニックと迷って、最終的に八重洲セムクリニックにしたという人もいました。
ヒロクリニックと八重洲セムクリニックの比較まとめ
上記の14項目を踏まえた総合評価は以下のようになりました。
ヒロクリニック(☆3.6 / 5)
安いコスト、ネット予約やスピーディーな検査結果の通知などが特徴的なのがヒロクリニックです。手軽に検査を受けられる分、必要なフォローがやや不足していることも否めません。
すでにNIPTを受けようと決意が固まっている人や、安い費用で気軽に検査を受けたい人はヒロクリニックを検討してみるとよいでしょう。
八重洲セムクリニック(☆4.3 / 5)
認可外施設でありながら、検査前後のフォローが手厚いのが八重洲セムクリニックです。産婦人科の実績が長いため、困ったときの相談にも乗ってくれるでしょう。
専門性にこだわりたい人や、検査を受けようか迷っていて専門家の意見を聞きたい人は、八重洲セムクリニックなら安心です。
採血のみで完了するNIPTですが、医療機関によっても対応やフォローなどが異なります。記事内で紹介した内容を参考に、自分にぴったりのクリニックを選びましょう。